舞われまわれ | ナノ







<モノとクロ>

さて、勉強面でお世話になっているソルベがいない以上、後のメンバーは特別三番目に渡そうという意気込みは無いわけだ。
適当に捕まる人から渡していこうか。

 

リビングに戻るとギアッチョとペッシがテレビを見ていた。
「チョコできたよー」
「キッチン見りゃあわかる、さっさとよこせ」
何様だよ天パ・・・。
「あの量一人じゃ大変だったよな。お疲れ様、マキナ」
「ペッシ…!ギアッチョの分もペッシに上げる!!」
「あぁ!?どういうことだコラ!」
「そのまんまの意味よ!」

そう言い切ればギアッチョの奴めは威嚇対象をペッシに切り替えた。
途端に怯えるペッシ、天パめなんと非道な策を…!!

「マキナ…お、俺になんか、そんなくれなくていいよぉ…」
「わかった、ギアッチョ!ちゃんとあげるからペッシいじめないの!冗談に決まってるでしょ!」
慌ててキッチンに駆け込んで普通の袋と、他と区別されて置かれている袋と持ち出す。

「はい、こっちがペッシでこっちがギアッチョの分!」
「…ちっ、なんでそう一々指定すんだよ」
「だってギアッチョ甘いの苦手じゃない、そっちはビターなの」

私だってどうせ上げるなら、相手に喜んでもらいたいのである。
甘いもの苦手な人にわざわざ甘いものをあげるのはその意に反する。
本来ならクッキーとか、工夫すべきところだろうが土壇場ではこの程度の配慮しか出来なかった。

「…そうかよ」
ギアッチョは半ばふんだくるようにチョコを受け取った。
そのままそっぽを向いてしまう。
あからさまにつんけんされてしまった。
もしかして、そこは好み云々とかではなく皆とお揃いのほうが良かったのだろうか。
あとでミルクと交換できる事を伝えようか。

「はい、ペッシも」
「マキナ、ありがとうな!」
方やペッシは両手で包みを大事そうに持ち上げた。
この2人はつくづく反応が正反対だ。