舞われまわれ | ナノ







今日は皆を普段呼ばない呼び方で呼んで見ようと思う。
何故って、それはもちろんただの暇つぶしである。

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まずはフーゴだ。
彼はキッチンで朝食を作っていた。
「ああ、マキナ。おはようございます」
「おはよう、パンナコッタ」
「…殺すぞ」
超物騒。

手元の包丁が明らかに此方を向いていたので早々に退却をすることにした。


逃げた先のリビングで、半分寝ているような顔でナランチャがテレビを眺めていた。
「おはよう、ギルガ」
「あー…おはよ…」
続けて大きな欠伸をひとつ。
駄目だこいつ、聞いてないわ。


そこへブチャラティが入ってきた。
「おはよう、マキナ」
「おはよう、ブローノ」
「…びっくりしたぞ」
「新鮮でしょ」
「まあな、だがやはり俺は苗字で呼んで貰えるほうが嬉しいな」
「そうなの?」
フーゴみたいなことを言う。
ブチャラティの名前は別段変ではないのに。
…これじゃあまるでフーゴの名前を変と言っているみたいだ。

「ああ、俺はこの苗字に誇りを持っているからな」
「そっか」
そんな真面目な反応をされてはふざけていただけ、とは言えなかった。

やっぱりブチャラティには敵わないな。


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その日の朝食、私のスクランブルエッグにだけなぜか大量の胡椒が仕込まれていました。

畜生。