舞われまわれ | ナノ







一般的に刑務所の中にいるポルポさんに書類を届けるのは難しい。
郵便という形態を取ればどうしても送るのにも受け取るのにも他の囚人と同じく、検閲が入る。

けれど、ブチャラティならS.フィンガーズで体の何処にでも物がしまえる。
そして私ならB.シチューで身体チェックに携わる人たちの脳の認識から物の存在を消せる。
堂々と、直接ポルポさんへ手渡すことが出来るのだ。

他のチームは主に電話を利用しているらしいが、傍受の危険性が0とは限らないのが大きな問題だ。
後はたんまりと賄賂を用意するか。
これも重宝されている方法ではあるが、最低限それなりのコストがかかるのが現実だ。

ただでさえ、他で賄賂は沢山使われているのだから。

そんなこともあって、他言無用の重要な任務であればあるほど私たちへと回ってくることが増えた。
それに比例する形でポルポさんの私たちへの信頼も増す。

なんともありがたい話だ。

勿論それ相応の危険な山が舞い込んでくるわけだから、大手を振って喜べるものでもないわけだが。

「これが今月分の報告です」
「確かに。それじゃあこの書類の処分も頼もうか」
「かしこまりました」

提出した書類の倍の量の書類を受け取る。
刑務所で処分するには少々厄介な内容を含む書類たちである。
「中身は、わかっているねぇ」
「ええ、絶対に見ません」
その言葉に偽りはない。
刑務所を出てすぐにいつも燃やしてしまうからだ。
そもそも、興味もないわけで。

B.シチューを出して、看守たちの目をごまかす準備をする。
「では、よろしく頼むよ。ブフゥ〜」
「はい、失礼します」

そういえば、ナランチャやフーゴに頼んだ場合、彼らはどうやって書類の持ち運びをしたのだろうか。
もしかしたらブチャラティはそれが見たかったのかもしれない。
だとしたら、悪いことをした。
けれど、私の想像の及ぶ範囲では彼らがうまくそれを出来るようには思えないわけで。

これからもその役目は私かブチャラティに変わりは無い様に思えた。

(それを、どうにかしたかったんでしょうけど)