舞われまわれ | ナノ







「マキナっていくつ?」
ナランチャはジェラートに食らいつきながら聞いてきた。
敬語の必要はない、と言えばナランチャはすぐに敬語をやめた。
何時ぞやの誰かさんとは大違いだ。

「多分ー…15くらいかなぁ…」
ブチャラティに拾われたころから計算してみる。
今年で16と思っていいくらいだろうか。
まぁ多少の誤差は存在するとしても大体それくらいのはずだ。

「適当だなー。…ってあれ?同い年じゃん」
「……」
「フーゴの奴、俺より年下だったんだぜ!敬語使って損したー」
「…えっ?」
「なんだよ、マキナも知らなかったのかよ!だよなぁ、わからないよなー!」
「じゃあなくて、…えっ?」
「13には見えないよなー!」
「う、うん。そうだね…」
そう、確かにフーゴは中身が出来すぎているから、年齢を推し量りにくい節がある。
でも今の問題はそこではなく。
「…ナランチャ、15なの?」
「もうすぐな!」
「もうすぐか、それはおめでとう」
「へへへ、おう!ありがとなっ」
だが少し待ってほしい。
私と彼が、同い年だって?

「人の見た目ってあてにならないものね…」
それはともかく、年を気にするなんてナランチャはどうやら仕事の先輩より人生の先輩を優先するタイプのようだ。

「でも私の方が一つ上よ」
「そうなの?」
「私、今年で16だもの」
「…細かいな、お前」
自分でもそう思うが、なんとなく主張しておきたかった。
別に後輩であるナランチャと同い年というのが嫌だったとかじゃあない。
…口の周りをジェラートだらけにしている彼と同い年なのが嫌だったのだ。

そう言ったら彼は怒るだろうか。

「なんだよその目は」
「…いや別に」「俺、もっと年上に見えた?」
「それはない」
なんでそんな自信たっぷりに言えるんだ。
即答で返すと彼は精一杯眉をしかめた。

「なんでそこははっきりいうんだよ!」
「話変わるけど口のまわりベトベトよ」
「え、まじ?」
さっきの勢いはどこへやら。
のんきな顔でナランチャはのんびり紙ナプキンへと手を伸ばした。