舞われまわれ | ナノ







「あの…ブチャラティ。どういうこと?」
「俺だって知りたいさ」

季節は巡って春真っ盛り。
新入りが来るというポルポさんからの突然の通達。
その新入りを迎えに行ったブチャラティが連れ帰ったのはいつかの少年だった。

「ちゃんと家に帰ったし、学校にも行きました!…帰れなんて、言いませんよね?」
「…パッショーネが君の入団を決めた以上、俺からとやかく言うつもりはない」
「やったあ!」
ぴょんぴょんと嬉しそうに跳ねる少年は、いつかの暗い雰囲気からは想像もつかない明るさだ。
「ナランチャ・ギルガだそうだ」
「マキナよ。改めてよろしく」
「フーゴです。よろしくお願いします」
「よろしくお願いしますッ!」

本当に、元気だ。

「私たちのチームに配属されたってことは、再点火したって事?」
これが意外に大事なことであることを、フーゴの時に私は知った。
あの後それとなく調べてみると、糞真面目に火を守った奴は組織に碌な使われ方をされていない。
何かスタンドを手に入れていないという点を補えるほどの長所や組織にとってのメリットが無ければ、良くて鉄砲玉なのだ。
恐る恐るブチャラティに聞けば、彼は頷いた。
「まったく、凄い執念だよ」
そう言ってため息をつく。
しかし、何処か嬉しそうでもあるのは私の気のせいじゃ無いだろう。
勿論、一人の少年を危険な世界に導いてしまったことに彼のことだから責任を感じているみたいだ。
でもやはり、『アンタを目指してきた』なんて面と向かって言われたら嬉しくないわけがないというものだ。