舞われまわれ | ナノ







カタカタカタカタカタカタ…
不規則なタイプ音が部屋に響く。
私たちはそれぞれ、各々に任せられた事務処理を行っていた。

皆が黙々と作業を続ける中、画面上に異変を感じた。
刹那、キーボードを走る指が謎のウィンドゥの出現により止まる。

「あれ?」
「どうかしましたか?」
「いや、ううん。…あれ?」
深刻なエラー…?
よくわからないけど、まぁ消しちゃえばいいよね。
「…」
「え、おっかしいなぁ。…あれ、え?」
なにこれ、消えない。
「マキナ」
「…ごめんなさい、パソコンが言うこと聞きません」
「ッの、」
「ごーめーんーなーさーいーーーーー!!!!!!」

プッツンしたフーゴの鉄拳が迫ってくる。
これは一回素直に殴られて、パソコンをどうにかしてもらうほうがよさそうだ。
そう覚悟を決めて来たる衝撃に身構えた。

「フーゴ、すまない」

そこへもくもくと作業をしていたブチャラティが声を上げた。
恐る恐る目を開けると、拳は眼の前で静止していた。

「どうしました?」
「パソコンが言うことを聞かないんだが」
変な警告が出て動かないんだ、とブチャラティは続けた。
私と同じような症状のようだ。

「わかりました、見せてください」
「あれ!?私のときと態度違うなー!!!」
同じような症状のはずなんですけどー!
おかしいなー!
おっかしいなー!!!
声を大にして抗議をする。
「そうですか?ああ。これならすぐに直ります。ここをこうして…」

なんてこともないように流された、だと?
「ちょ、ブチャラティー!!!何とか言ってよ!」
「どうしたマキナ、腹でも減ったのか?」
「あれ、これ次私がキレる番かな」

まぁ、お腹は減りましたが!!!

時計の針は、13時をさしていた。