舞われまわれ | ナノ







「フーゴ、フーゴ!!!」
「一度呼べば分かりますよ。」
まったくどっちが年上何だか。
僕は目の前の先輩にあたる少女に対しため息をついて呆れてみた。
けれど彼女はそれを意に介した様子もなく言葉をつづけた。
僕のわざとらしいため息にも慣れたようだ。

「この間の商店での乱闘騒ぎだけどさー。」
「ああ、あの余所者が暴れたって言う…」
確か裏通りのバールだっただろうか。

「そいつの有り金じゃ弁償しきれないらしいのよ。」
「一体どんだけ暴れたんですかそいつ。それでどうすればいいか、ということですか。」
「私としてはもう後は臓器くらいしか売れないのではと。」
「待ってください、うちにそのルートはありません。」
「おおよそ冗談だよ。」
何処までが本気か分からないのが若干たちが悪い。

「家財もぶち込めばいいじゃ無いですか。」
「そいつの家があるところがさ、別のチームの担当区域なのよ。」
「…面倒ですね。」
「交渉自体は当事者が悪いんだからいいんだけど、そこのチームの人に会うまでが、ねぇ。遠いのよー。」
たしかにあちらのほうに行くには電車もバスも便が悪い。

「車出しましょうか。」
「ほんと!頼むわー…え?」
「え?」

(ああ、勿論無免許ですよ。)
(え。)