舞われまわれ | ナノ







その後、男の部下数人が階下からやってきた。
男が勝ったものと思っていたようで、この状況に慌てふためいた彼らは、ひれ伏し謝りだした。
中には逃げる者もいた。
私は、男が死んだことを他の輩に伝え今後馬鹿なことを考えないようにとだけ伝え解放した。
正直、体中痛くて今からそいつらを如何こうしようという気にはなれなかった。
また刃向かうならそのときは命は無い、このことを彼らはもう十分に思い知っただろう。

そして私も、どれだけ自分が未熟だったかを思い知った。
自分の慢心とエゴで守るべき後輩まで巻き込んでしまったのだ。
「ごめんなさい、フーゴ。」
結局、最後は彼に助けられてしまったのだ。
「私、無鉄砲で。」
「仲間というのは、補い合うためにあるのでしょう。」
「…そう、だったわね。」
痛みにもなれてきた私は、腰を下ろしていた廃材から身を起こした。

ビルに差し込む日も傾きだしていて、室内に長い影を作っていた。

「帰りましょうか。」
「うん。」

(それでも、悔しくて。)