舞われまわれ | ナノ







「っははははははは!!!!手前のスタンド、本体の一大事に随分とお気楽なんだなぁ!!!」
返す言葉も無い。
僕だって一体何なのか分からないのだから。

「っざけんなよ…。」
何がスタンドだ。
そんな力を手に入れても結局、どうにもできてないじゃないか。
情けない、やり場の無い怒りがくすぶる。

「見ろよ、お前のスタンド何にも無いところ殴ってるぜ!」
滑稽で仕方無いのだろう。
男は僕たちに背を向けてわざわざ僕のスタンドに近づいていった。
絶対的な自信、圧倒的な優勢。
背を向けられてもプレッシャーを感じる。
その余裕、その態度、全てに苛々する。
しかし実際、僕には彼の背中に殴りかかる技量も、この瞬間に自分のスタンドの有用性に気付き運用するだけの機転もなく。
ただ意識を失いかけているマキナの体を支えることしか出来ないのだ。
敵の態度も頷けた。
頷けた自分にも腹が立った。

「そこになんかあるのか〜?」
勝利を確信した余裕たっぷりの笑みを浮かべながら男は僕のスタンドに近づく。
それでもスタンドは男に目もくれない。
ただ執拗に壁を殴り続ける。
全てに腹が立った。
スタンドと同じように、僕は目の前の床を殴った。



―パリンッ





何かが割れる音。
それは、合図だった。