舞われまわれ | ナノ
マキナは限界だ、戦闘の素人の僕の目にも分かるほどに。 しかし僕には未だこの状況に対する打開策は見つけられない。 男のスタンド像は見えている。 スタンドに与えた力はそのまま本体へと伝わるそうだが、彼女のはそれが出来ないとブチャラティが言っていた。 たとえそれが出来たとしても、先ほどからの彼女の動きはどんどん精度が落ち自棄になってきている。 本体に悲しいくらい掠りもしない。
マキナのことは心配だが、僕は自分の役目を果たさなくては。 当たらない攻撃、避けられない反撃。 無かった拳銃、…いや、あったのに見えなかった…?
そうだ、何故奴は自らスタンドの力をばらしたのか。 …騎士道精神? そんなもの今回のような事件を起こした奴が持っているとは思えない。 ただの冗談だろうか、いや別の理由があるに違いない。 能力を伝えなくてはいけない理由が。 …違う、能力を伝えたんじゃない。 奴は能力を隠したのだ。 先に自分の能力を相手に伝えることで先入観を与える。
つまり、敵の能力は別にある…!? それなら、いったい何の能力なのか。
…そうだ、あれなら。あの能力であるなら全てに説明がつく。 それならば、このことを彼女に伝えられれば、僕らにも勝機がある。 僕には無理でも彼女なら可能なはずだ。
どう敵にばれずに彼女に伝えるか、考え始めたその時。 傍目に見ても分かるほど強烈な敵の蹴りがマキナの腹に食い込んだ。 「マキナッ!!!!!!!!!」 「っか、フ・・・、ゴ」 彼女は立ち上がれない。 もう抵抗する力がないのは明らかだ。
「これで終わり、だなぁ。」 男がマキナに近づいていく。 このままじゃ、殺される。 僕はひとつに賭けに出た。 「パープルヘイズッ!!!」
僕のスタンド、何ができるかなんてわからないがマキナが体制を整える、あるいは僕が敵の能力を伝える時間を稼ぐくらいにでもなればいい。 先刻とは違い、しっかりと両の足で地面を踏みしめたパープルヘイズが姿を現したことに内心安堵した。 これなら、そうおもってマキナの傍に駆け寄る。
それなのに。
そんな僕の願いとは裏腹に、パープルヘイズは何も無い壁のほうへ歩いていってしまった。
(いったい、なんだっていうんだ!)
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