舞われまわれ | ナノ







「空間を操るとか言ってたっけ?」
「はい…。」
「これもそのせいね。」
「違ぇよッ!!死ねクソアマッ!!!!」
ありのまま今起こった事を話すとするならば、『目標も見つけたと思ったら誘い込まれただけだった』である。
ラッキーだと思ったのに。

あからさまに怪しげな廃ビルの前で、私は神様を呪った。

「危険です、やめておきましょう。」
冷静さを取り戻したフーゴが提言する。
「でも…。」
ここで逃したら次はいつチャンスがあるか。
「要は、敵の誘いであることを理解して用心すればいいんでしょ?」
「…マキナ。」
フーゴは未だに渋り顔だ。
「大丈夫、大丈夫。」
さっさとやっつけて、ブチャラティの仕事の手伝いをしなくては。
私はビルの内部へと踏み込んだ。