舞われまわれ | ナノ







迷子になったときはその場から動かないほうが言いとブチャラティに教わった。
けどこの場合迷子なのはどっちだ?フーゴ?え、私?
いやいやいや、フーゴだろう。
しょうがない、探しにいくしかないようだ。

「お嬢ちゃん。」
「はい?」
振り返ると小太りの男、…見覚えはない。

「…げっ、こいつ昨日の!」
しかし、どうやら向こうはそうではないらしい。
「ブレインシチュー!!!」
手足の指の骨を折る。
溜まらずうずくまった男の前にしゃがみこんで尋ねる。

「どういうことかな?」
こういうときは笑顔で聞かなくちゃね。



最悪だ、何を考えてるのだ?
潜入捜査のつもりだろうか。
誰もスタンド能力も発現してないような新入りにそんな大役を任せるわけないじゃないか。

「ああもう!!」

苛立ちからゴミ収集容器を蹴り上げる。
中のゴミががさりと音を立てるが、こんなでかい物が動くわけなく足に鈍い痛みがじわじわと染みてくる。

頭よすぎておかしいんじゃないの?
フーゴが今までどんな環境にいたかは知らないが、ここは理詰めでは生きていけない世界だ。
そもそも彼は不測の事態に対応できるのか、昨日の青い顔を思い出す。

「しょうがない。」
可愛くない後輩の為に乗り込むしかないじゃ無い。
動かなくなった男を放り投げて私は聞きだした奴らの巣穴へと向かった。