舞われまわれ | ナノ







「じゃあ私中いってくるから。」
「僕はここで待機ですか?」
「そうだね、場合によっては手荒いことするから。」
「…何する気ですか。」
「気にしない気にしない。じゃ行ってくるわ。」

そういってマキナはカジノの裏口から中へ入っていった。
裏口に面している路地裏は昼間でも薄暗い。
まぁギャングの管轄のカジノなんてそうそう治安の良い場所にあるわけがなく。
この通りは他にもパッショーネの娼館やら商店が点在している。

もっともそちらは他のチームの管轄なので僕はよく知らない。

「随分と身なりのいい坊ちゃんだな。」
「…他をあたってくれませんかね。」
そのためこんなゴロツキもうじゃうじゃといる。
小太りの男が二人、卑下た笑いを向けてくる。
面倒だ、彼女と一緒に中に入ればよかったかな。
ああ、でも今結構いらいらしてるからいい八つ当たりになりそうだ。

「まぁ待てよ。小僧、カジノの従業員か?にしては若いか。男娼か?」
「この歳からか、そりゃ災難だな。…どうさ、ここらで一儲けしないか?俺たち、今人を募ってんだよ。」
「パッショーネにこき使われて終わる人生でいいのか?俺たちのボスはな、カジノで一稼ぎできる不思議な力を持ってるんだよ。」
「不思議な力?」
「ああ、よくはわからんがな。どうだ、このまま体がぼろぼろになるの待つよりいい思いできるぜ?」
マキナが帰ってくるのは期待できそうにない。

「…面白そうですね、そのボスのところに案内してくれません?」
なに、偵察くらい僕でも出来るさ。
後で隙を見て連絡すれば問題ない。
何なら片付いてからでもいい。
そうさ、僕だって出来るさ。