舞われまわれ | ナノ







「あらかた調べ終わったけど、特に変な物なかったよ。」
「こちらもだ。」
「玄関もです。」
それぞれの調査も終わり廊下に集まる。

「ってことは自殺でいいんじゃない?」
さっさとこの部屋を出てしまいたい。
「カジノに金をつぎ込んでたんでしょう。しかもスッてばっか。生活苦から首吊り、これが妥当だと思うけど。」
「そうだな、異状はなかったと報告しておこう。先に帰っててくれ。…念のため二人で待機していて欲しい。」
「了解ー!」

とりあえず片付いたようで一安心だ。
鼻なんて麻痺しちゃってるけど早く外の空気が吸いたい。
ポケットから電話を取り出しどこかへ連絡を入れるブチャラティに続いて部屋をでる。


外に出ると爽やかな空気と風が迎えてくれた。
太陽は真上で暑いことは変わりないが風があるのとないのとでは、やはり違う。
「よし、帰ろうか。」
「…。」
「大丈夫?」
ブチャラティを見送り、振り返ると壁に手をついたフーゴが青い顔で立っていた。
「すみません、平気です…帰りましょう。」

ふらふらと歩き出されても全然説得力がない。

「フーゴ、吐いちゃえ。」
幸いまだこの部屋の鍵はかかってないし、トイレは死体の部屋より手前にある。
ギャングの世界に現状維持なんて言葉はあまり聞かないし使っちゃったっていいだろう。
「は?」
「だから、吐いちゃったほうが楽なこともあるわよ。我慢すると悪循環。」
「大丈夫です、問題ありません。」
「そんな青い顔して言われても。」
「余計なお世話です、アンタこそ大丈夫なんですか?」

強い口調でフーゴが言った。