舞われまわれ | ナノ







「おはよう、マキナ。」
「おはようございます、マキナ。」
「おはよう…。」

朝起きると、既に朝の支度を終えた二人が朝食を取っていた。
私はというと、まだ寝巻きである。
今日、朝食当番だったブチャラティが私より早く起きてるのは納得できるけどその横に当たり前のようにフーゴが居座っている。
これじゃあまるで私が寝坊した見たいだ。

「朝食の片付けは頼む。俺はちょっとポルポさんのところに行ってくる。」
「え、ブチャラティ行っちゃうの?」
「ああ、二人で下で待機しててくれ。」

二人で…か。

「わかりました、それでは後ほど。」
勝手に話を進められ、なんとも言えない気持ちになる。
まぁ、ここで何かを言ったらまた私の我侭だと思われるかもしれないのでぐっと堪える。
昨日からぐっと堪えてばっかりよ、まったく。

「…行ってらっしゃい。」
「ああ、行ってくる。」


本当に、行っちゃった。
気まずいなぁ。
そう思ってるのは私だけなのだろうか。
優雅にカップを傾け新聞を読む新入りはすっかりこの家になじんでいる。
我が物顔で新聞を読んでいることが気になるけど小さい奴と思われたくないし黙って朝食を食べる。
ブチャラティの料理だから美味しいはずなのに味が感じられないくらい気詰まりだ。
ただひたすら、私の立てる食器の音と彼の新聞をめくる音が響く。

無言。

とっとと朝食を掻きこんで部屋に引っ込もうと心に決め、食べることに集中する。
口いっぱいに頬張って咀嚼、無理に飲み込み咽かけるところを紅茶を一気飲みして耐える。

「ふふ、随分とお腹が減っていたんですね。」
笑われた…!
笑い方さえも大人びていて無性にむかついた。
「別に。早く下に行こうと思っただけよ。」

人がどうご飯食べようが勝手じゃない、何でいちいち突っ掛かってくんのよ。
最後の一口を口に放り込んで口に入れたまま行儀が悪いと思いつつも立ち上がり食器を洗う。
もうすぐ部屋に逃げ…行ける。
別に逃げてるわけじゃ無い。
なんで私が逃げなくちゃいけないのよ。
普通に、支度しに部屋に戻るだけだし。
…なんでこんな言い訳みたいに言わなくちゃならないんだ。
全部新入りが悪い!

手早く食器を洗い終え、私は部屋に戻った。