舞われまわれ | ナノ







「なんでこんなこともわからねーんだッ!!!あんたの頭はミトコンドリア級かァーッ!?」
「難しい言葉で責めないでよ!なんか馬鹿にされてることは分かるけど。」

確実に眼球を狙って飛んでくる鉛筆をなんとか避ける。
あれ2Hじゃない!わざわざ硬いので狙ってくるなんてマジですか…。

「マイナスから引くんだからプラスになるに決まってるだろーが!この単細胞!」
硬質化してるとしか思えない威力で投げられる消しゴムは、盾にしたノートにめり込む。

やばい。

「そこを分かりやすく教えてよー!」
「甘ったれんな!」
「ひぃっ!そんな!」

定規が頬を掠めた。
ツーっと赤い線が出来た気がするのは気のせいじゃ無いだろう。
確かに根気よく教えてもらったのに間違えたのは悪いがあんまりだ。

「ごめんなさい!次は頑張るからー!」
「次があったら試験なんて必要ないだろぉが!このクソアマ!」
「クソ、アマ・・・?」
それもうただの暴言じゃない。

「さっきから下手に出てりゃあいけしゃあしゃあと、偉そうに…ふっざけんなッ!!」
「何を騒いでいるんだ!」
ククリナイフを膝から引きぬいた所で、風呂から上がったブチャラティが一喝した。
あまりの迫力に、私もフーゴも固まる。

「マキナ、そのナイフ。どうするつもりだったんだ?」
「え、いや。これはその…フーゴが…」
「言い訳するな!こんな家の中で凶器を持ち出すんじゃあない、それでも先輩か!」
「だ、だって………っ、……ごめんなさい。」
ブチャラティの眼光と無言の圧力が怖い。

「俺に謝るんじゃないだろう。」
「…フーゴ、ごめんなさい。」
「フーゴも、どうしたんだ。」
「すみません、ついカッとなってしまって。マキナ、僕のほうこそごめんなさい。」
あっさりと非を認められるとまるで私が駄々っ子見たいじゃないか。
大人な対応をするフーゴに一言物申したくなるのをぐっと堪える。

なんて可愛くない新入りだ!
思わずペッシが恋しくなるのは仕方がないことじゃ無いだろうか。