舞われまわれ | ナノ







「今はまだ全てを受け入れなくて良い。ただ、そういう能力があること、そして君にもそれがあることを覚えておいて欲しい。直に発現するだろう。」
「…わかりました。」

スタンドについてのおおよその説明が終わる頃には、ケーキはなくなり私は暇をもてあましていた。
矢によってスタンドが与えられても人によって発現までは時間がかかるらしい。

「フーゴのスタンドはどんなだろうね。後方支援っぽい気がするなー。」
私たちは近距離型なので遠距離が一人いたら大変ありがたい。

「どうでしょう、期待に添えればいいんですけど。」
「そうだ、それでフーゴ。住む場所が決まってないそうだが。うちで構わなければ使うといい。いいだろう、マキナ。」
「私は全然構わないけど、それは今まで大変だったね。」
住所不定だったとは。


「え、あ。二人はそういう…。どうぞお構いなく。」
酷く勘違いな納得をしてフーゴは遠慮気味に視線をそらした。
「いやいや、どういう。」
「俺とマキナは兄弟みたいなもんなんだ。事務所の上は普通の家なんでな。良ければ使ってくれ。」
「でも…。」
「パッショーネの後ろ盾があるとはいえ、その歳で家を借りるのは難しいだろう。遠慮するな。」
「そうですね、それなら…お言葉に甘えて。」
「そういえばフーゴは何歳なの?」
「13です。」
ほほう。

「勝った!私16だよ。でもなんか大人っぽいね。」
「マキナが子供過ぎるんだろ。」
「ちょ、ブチャラティ!聞き捨てならないんですけど。」

そりゃあ、こんな気品はありませんけど、とフーゴを眺める。
うん、年下には見えない。
手っ取り早く大人っぽくなるために眼鏡でもかけて理知的な雰囲気をとも思ったけどギアッチョは全然理知的な雰囲気がなかったことを思い出す。
やはり普段の素行にもよるのだろう。

「はぁ…。」
ブチャラティとフーゴだけを見ると、大変品が良く感じる。
私はこの雰囲気についていけるだろうか、まったく想像がつかないことが一層悲しい。
もうひとつおまけに盛大なため息をついた。