舞われまわれ | ナノ
春と秋は任務がしやすくて良い。 夏は酷く暑いし、何よりも臭いが酷いのだ。 後始末を担当するジェラートには頭が上がらなくなるほどに。 冬は目標も厚着してたり顔がマフラーで隠れてたりと、めんどくさい。 そんなわけで、ネアポリスにもやっと秋がやってきた。 任務を終えた後の室内の匂いで、それを実感する。 っていうと、なんだか風流じゃ無い。 でも事実なのだから仕方がない。 今回の報酬はコートやマフラーを買うお金にしようと決めながら私は現場を後にした。
「マキナ、手合わせしてくれよ!」 プロシュートのファッション誌を勝手に拝借して読んでいると基礎練帰りのペッシがやってきた。 「そうだね、そろそろ良い時期かもね。」 「え、俺ってそんなに成長した…!?」 「違うよ、気候がだよ…あーもうしょぼくれないの!悔しかったら頷かずにはいられないくらい成長しろ!」 「は、はい!」 「とりあえず一回着替えてきたら?風邪引いちゃうよ。」 「うん、わかった。」 ペッシは本当に素直だな。 プロシュートの教育がいいのか、反面教師なのか。
「おい、人の雑誌何勝手に読んでんだ。」 「やっほー。ペッシ、最近どうよ。」 「無視かこのアマ。…まぁ、死体自体にはビビらなくなったな。血も平気になったしスタンドの扱い方も覚えてきた。ただ、殺しがなぁ。」 「十分成長してるじゃない。任務でもお守り要らなくなったんでしょ?」 「ああ、自衛は様になってきちゃいる。けどよぉ、殺す気で向かってくる相手に殺さないでどうこうしようってのも限界があるぜ?」 「そっか、そうだねぇ。それができるのはとっても強い人だけだねきっと。」 「ああ、腕に自信がある奴がやるならわかるんだけどよぉ。」 「犬死しないように指導するのが兄貴でしょ!愚痴愚痴言わない!」 「ちっ、テメェの兄貴になった覚えはねーぞ。」 「私も兄貴は間に合ってる。」 「なんだそりゃ。」 私の兄貴はブチャラティだもの。
「準備できたぜー!」 着替えたペッシがやってきた。 「よし、じゃあ行きますか。」 「なんだ、組み手か?」 「はい、兄貴!マキナにどれくらい成長したか見てもらうんだ。」 そういってペッシは我先にと廊下を進んでいった。
「…これは少し持ち上げたほうがいいの?」 それとも完膚なきまでにしっかり打ちのめしたほうがいいのかな。 「上げて落としてやれ。」 「アンタ鬼だ。」 案外熱血な彼の言葉に、イルーゾォが師匠でよかったと心底思った。
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