舞われまわれ | ナノ







「ジェラートが食べたいけど外に出たくない、そんなことってありませんか?ありますよね。」
「マキナ!ジェ、ジェ、ジェラートを食べるだと!?お前何考えてんだ!」
「お前が何考えてんだ!」
暴走しかけたソルベの顔面にジェラートの鉄拳がめり込んだ。
ジェラートって言葉に異様に反応するソルベ。
うーん、愛だね。

部屋の片隅で起きているド突き漫才?愛の劇場?を放置して正面で偉そうな体制でテレビを見ているギアッチョに向き直る。

「というわけで、ギアッチョ頼むよー。」
「断る。」
「今が正にその状態なんだよ。」
「知るか。」
「一瞬だけ、これを凍らせてくれるだけでいいんだよ。後は自分でやるしギアッチョにもあげるよー!」

手に持っているのはオレンジジュース。
これを凍らしてもらって砕いて氷菓子を食べたいのだ。
テレビでやっていたジャポーネのかき氷という奴だ!

「絶対美味しいよ!」
「だーッ!!うるせェんだよさっきから!」
「…ぐぬぬ。」
「…ホワイトアルバム。」
手元が途端に冷たくなる。

「わわ、あ、ありがとう!!」
ジュースは綺麗に凍っていた。

「7:3だぞ。」
「6:4!せめて6:4!」
「分かったからとっとと行って来い。」
この氷が少しでも溶ける前にと、私はキッチンへ駆け込んだ。

(今日は林檎だよ!)
(毎日毎日、俺はアイスメーカーじゃねーぞ!)