舞われまわれ | ナノ







二三丁、拝借した拳銃を弄りながら進む。
プロシュートとは現在別行動。
急遽予定を変更して彼が陽動している間に私が目標を殺すことと相成った。
陽動よりもこっちのほうが危険は少ないと判断してペッシは私の後ろにいる。

カチリ、弄っているといともたやすくリボルバーが回り弾が装填される。
引き金を引けばすぐにでも人を殺せるわけだ。
こんな大きさでも殺傷能力がしっかりある拳銃ってすごい。

ブチャラティから貰った拳銃は、まだ一度も使ったことがない。
ナイフで十分だったって事もあるけど、あれはどちらかというと私にとってお守りに近いのだ。
あと、彼からの贈り物をこういう汚れ仕事に使うことに引け目を感じてしまう。
間違ったことに使っちゃいけない、これは強迫観念に近いものがある。
ちゃんとイルーゾォから手入れの仕方は学んだのでいつでも使える状態ではあるが、この先も使う気になることはないだろうな。
刃物は人を切る感覚、刺す感覚が手に残る。
銃はどうなんだろう。
反動はあるって言うけど、それは直接相手を傷つけている感触ではない。
だから皆安易に手を出すのだろうか。
殺すと言う感覚が薄れるから、大勢の人が好んで使うのかな。

そういえば自衛目的の銃を使った発砲事件とか乱射事件って多いよね。
そういうのも軽い気持ちで扱うから起こるのかな。
うーん、だとすれば私に扱うのはまだ早い。

これは後で誰かにあげるか、ばらして売ろう。

「…マキナ、それ。」
気分が悪そうなペッシが仕舞いかけた最後の拳銃を指差して言う。
「一丁くれないか?…怖くて。」
「びびってるようならむしろ武器は持たないほうがいいよ。気が大きくなって油断するか、焦って自滅するよ。」
「う・・・そんな。」
「大丈夫、ちゃっちゃと片付けるから。」
廊下には誰の気配もない。
陽動がうまく行っているようだ。

「目標の部屋はここかぁ。ペッシは死体平気?」
「うん、見たことは何度かある。」
「それならよかった。」
ブレインシチューを出して準備は万端。
とっとと片付けてプロシュートの加勢に向かわなければ。