舞われまわれ | ナノ







「ご苦労だったな。」
「別にたいした仕事じゃなかったからいいよ。」
「それを聞いて安心した。早速任務だ。」
「…リーダー。」

労った直後仕事ですか。
否、この人端から労う気は無かったな。

「そう睨むな。ただの付き添いだ。」
「なにそれ、暗殺じゃ無いの?」
「今晩プロシュートが任務に行く。それにペッシも同行するので奴の護衛を頼む。」
見学ってことか。

「了解ー。」
ソルベが用意した情報をざっと眺める。
これなら楽そうだ。

と、思ったんだけど。

「どうすんのよ、これ。」
「やるしかねーだろ。」
「ですよねー。」
私とプロシュート、そしてペッシは銃火器を物々しく構えた一団に囲まれている。
こんなことになったのもペッシがフォローできないくらいにヘマをしまくったからなわけで。
当の本人はことの重大さが分かっているのか単にびびっているのか、私の後ろで震えている。
フォローしきれなかった私にも責任はあるし、過ぎたことより今はこの状態をどうするかだ。
今頃目標の周りにも、これくらいの警戒態勢なんだろうな。
これは頭が痛い。

「一気にいけるか?」
「うーん、ペッシ次第。」
「へ・・・あの、え・・。」
「なら最大出力で行く。」
「了解。ブレインシチュー!!!!!」
三人の脳に信号を与えて体温を極限まで下げる。

「グレイトフルデッド!!!!」
こんな状態になる前に全館の空調を不能にしておけて良かった。
彼ら、この時期に全身黒スーツで固めて冷房の利いた部屋にいるなんてエコじゃ無いよね。
今頃暑くてかなわないんだろうな。
あーあ、私は今とてつもなく寒いのに。
幻の寒さに粟立つ肌をさする。

その間にどんどん彼らはしわくちゃになって倒れていった。
これだけしっかり着込んでいればグレイトフルデッドの効き目は抜群だ。
体の異変に気付いたときには既に重たい銃なんて持っていられなくなっているのか、誰も彼もなすすべなく倒れこみ私たちを包囲していた一団は一瞬で壊滅した。

(ペッシの大きなくしゃみが、こだました。)