舞われまわれ | ナノ







目覚めた私は結局ネアポリス中心部の駅前広場で開放された。
朝食も朝食代の支給も無しである。
パッショーネは貧乏なの?それともケチなの?
ボス直属なのにそんな器が小さいの?

いろいろと言いたい事はあったが解放されるに越したことはないのでさっさと別れた。

さて、しかし困った。
私の服には微量ながら血が飛んでいる。
こんな状態じゃゆっくりカッフェも出来ないだろうな。
いっそ服を買ってしまうかとも思ったが荷物が増えるのもいやなのでアジトに帰ることにした。
気がつけば太陽はとっくに真上まで来ている。
昼食代も無しということであったようだ。
この異常な腹の減り具合に納得がいき私はアジトへと運ぶ足の歩調を速めた。

「たっだいまー!」
誰か丁度ご飯作っててついでに私の分もないかなーなんてちょっとした期待をしていた。
が、リビングは悲惨な状態だった。
テレビも扉も壊れている。
時計も落っこちて割れているし、ペッシが毎日水をやっていた植物の鉢も割れている。
極めつけは、大きな氷。
犯人はひとりしかいないのだが。

「ま、いっか。」
私は昼食を作ることにした。
もちろん、リビングの氷の中にメローネが埋まっていることには気付いてはいたがそれは言わないお約束である。
それよりもペッシ、ショック受けてやしないだろうか。
大事にしていた鉢植えが割れていたのだから。
昼食を食べ終わった頃、ギアッチョがスタンドを解除したのか、たまたまなのか。
メローネが氷の中から脱出して震えていたので、これ幸いとリビングの掃除を頼み私は昼寝をすべく部屋に戻った。

シャワーを浴びそびれたことに気付いたのは、昼寝どころか翌朝目覚めたときだった。