舞われまわれ | ナノ







耳栓っていうのもいいかもしれないな。
悲鳴が遠くに聞こえる。

でも拷問と言うものの性質上今回のように、相手の情報を聞く相手が別にいないとそれは意味を成さなくなってしまうのだが。
適当にやりたい放題やっていると途中で肩をたたかれ止めが入った。

「流石に、話す気になったみたいだ。」
どこかしら顔色の悪いスクアーロに言われ私はひとまず退室した。
意外に繊細なようで驚いたのは秘密だ。
ティッツァーノの方はそんな彼をくすくす笑っていたので、意外に彼のほうが図太いのかもしれない。
人は見かけによらないな。

とっくに暇をもてあまし、お腹の虫が騒ぎ始めた頃、扉は開いた。

「お疲れ様でーす。あの、私お腹空いたんですけどそこらへんの配慮はあるんでしょうかー。」
経費で食べられるのならそれに越したことはない。
親衛隊って言うくらいだからお金も稼いでそうだし、ぜひ奢ってもらいたいところである。

「…だ、そうですけど。」
「俺はパス。気分悪い。」
「そういえば、殺したの?」
目標のことが気になり聞いてみる。
殺したにしても死体の処理とかいいのだろうか。

「お前に気にされるようなことは何一つない。」
少し、警戒している風に言い捨てられる。
まぁ若干憂さ晴らしも兼ねて盛大にやったので気味悪がられてもしょうがないかな。

「もう、奢ってくれないならとっとと返して。本当にお腹すいてるんだから。」
「わかったからとっとと車乗って目隠ししてろ。」
「子供相手にむきなるなよ、スクアーロ。」
「うるせー。」
子供扱いは非常に癪に障るがお腹がすいて文句を言う気も起きないのでとっとと車に乗り込み目隠しをする。

「報酬は振り込んでおきますから。」
「うん。」
「今後ももしかしたらお呼びがかかると思ってください。」
「お呼び?」
「ええ、ボスからの。」
マジですか。
何で私、目をつけられちゃってるのでしょうか。
「は、はーい。」
「親衛隊自体に人が入ればいいんだ。そうなりゃこんな餓鬼の手を借りずに済む。」
「愚痴なら本人のいないところでしてよ。」

ぼすん、と座席に沈み込む。
お腹もすいたけど眠い。
そういえば行きは移動中に寝れなかった。

寝てしまおうかなぁ。
起こしてくれるだろうか。
道端にポイ捨てとかされたらいやだけど−…。


意識はゆっくり沈んでいった。