舞われまわれ | ナノ







「なるほど、じゃあティッツァーノ、貴方は偉いわけだ。」
「ええ。」
否定しろよ。


つまり、親衛隊の任務で私の能力が必要との事だった。
この時点で嫌な予感しかしないのだけど。
そのために、私の貸し出しを申請してきたとか、私は物か。
「で、だ。」
頭の中で整理していくと。

「それはもうつまり私に拒否権はないのよね。」
「ええ。」
申請じゃなくて命令じゃん。

「じゃあ行くしかないじゃない。」
おそらく皆私が行く必要ないようになんらかの対処をしようとしてくれていたのだろう。
9人が一斉に眉をしかめるって言うのは少し面白い。

「と、いうわけでちょっくら行ってきます。」
皆が何か言いたそうな顔をしていることには気付いていたが見ない振りをした。
だって、上層部に目をつけられたら大変でしょ。
それくらい私より大人な皆なら分かってくれていると思うのだが、それだけ心配してくれたのかななんて思い上がってみたり。
だったら尚のことそんな皆に迷惑を掛けるわけにも行かないし、多分まぁ任務の予想はつくけどそれは私が我慢すればいいだけだ。

「異動とは別物なんですよね。」
それでもここは重要なのだ。

「貴方が望むなら親衛隊に入ります?」
上に掛け合いましょうか?冗談じゃ無い。
「全力で丁重に遠慮します。」
「そうですか。残念です。」
人を食ったような笑みはメローネとは違った感じに癪に触る。

こんな人ばっかなのかな親衛隊。
いやだなぁ親衛隊。

「今からならもう出れるけど。」
幸い簡単な荷物は今手元にまとまっている。

「じゃあ、行きましょうか。外に車が待っていますから。」
自分のベッドが恋しいけど、暗殺チームの名前に泥を塗らないように頑張るか。
リビングを出るときに後ろを振り返りピースを皆に送ると一斉に睨まれた。
ふざけてるわけじゃないけどさ、私は大丈夫だよ。
そういいたかったのだけど、伝わっただろうか。