舞われまわれ | ナノ
「暑いなー。」 「暑いねー。」 「ギアッチョ呼ぼうぜー。」 「そんな理由で読んだら凍らされるよ…あ、でもそれいいかもー。」 「だろー。どっちみち涼しくなれる。」 「じゃあ呼んで来て。」 「アンタが行ってよー。」 「嫌だよ、私はメローネを見込んでだね、この任務をアレしてるんだよ。」 「うわぁい、棒読みだし。」
パソコンの発する熱ってのはなんであんなに暑いんだ? 限界に達した俺はリビングでテレビでも見ようかと思ったわけだが、そこには床に突っ伏すマキナとメローネがいた。
「お前ら何してんだ?きたねーぞ。」 「ホルマジオだー。」 「本当だー。男は暑苦しいから来なくていいよ。」 「なんだそりゃ。冷たいのか?」 「若干ひんやりー。」
自分の体温が床にも移ったのか、新たに冷たいところをゴロゴロ転がりながら探すマキナに思わず猫を重ねる。 可愛いなと思ったが、俺は別に決して危ない性癖なわけではない。 普通に小さいものが好きなだけだ。
「エアコンつけろよ。」 「それ壊れてんだぜ。」 「壊したんでしょ!メローネとギアッチョが!」 「まじかよ。」 しょおがねぇなぁ。 クーラーの利いたどっかの店に入ったほうが快適に過ごせそうだ。 と決まればとっととこの蒸し暑い部屋から出よう。
「ホルマジオ、この暑い中散歩に行くの?」 信じられないという顔をしてマキナが顔だけこちらに向ける。
「外の店入ったほうが涼しいだろ。来るか?」 「そのお店にジェラートはありますか!?」 「ああ、奢るぜ。」 「行くー!今支度するからちょっと待って!」 途端に飛び起きるマキナはやはり猫っぽい。
ドタドタと自室のほうに引っ込んだマキナを見送ると刺す様な視線を感じる。 「なんだ、メローネ。」 「横取りすんなよー。」 「そう思うんならとっととエアコン直せ。ついてくんなよ。」 野郎に奢る趣味は無い。
「アンタが嫌がるのはベリッシモ楽しそうだけどー…電気屋にアレ持ってくよ。」 「そうしとけ。」
つん、と向こうを向くメローネも猫みたいだが、可愛いとはまったく感じなかった。
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