舞われまわれ | ナノ







「こちらの地区に異動して来たブローノ・ブチャラティです。ポルポさん、よろしくお願いします」
「君がブチャラティ君?ブフゥ〜。はじめましてだったかなぁ」
「いえ、面接のときお会いしたことがあります」

嫌な予感は的中した。
ここはポルポの管轄の地域だ。
俺は彼の面接を受けスタンド使いになったのだ。

「どうだったかなぁ。どうも最近物忘れが激しい。まぁ君には期待をしているよ。どうかね、祝いに一杯。良いバローロが入ったんだがね」
「魅力的なお誘いですが、これから早速集金の担当地域の下見に行きますのでまた別の機会に」
「ふむ、その姿勢。なるほどねぇ。ブローノ・ブチャラティだったか。私は人の好意を無下にしない人間は好ましいと、日頃から感じているのだよ。君の事は覚えておこう」
「光栄です」

彼が手を上げると必要書類などを入れた封筒を彼の部下が差し出してきた。
中身を簡単に見てそれが間違いでないことを確認する。

「それでは失礼します」
俺は控えの部下にも一礼をして部屋を下がった。
これからお世話になる男だが、俺はポルポのことが好きにはなれない。
ギャングらしいギャングといえばそれまでだが。