舞われまわれ | ナノ
「よし、ギアッチョ!約束どおり行こう!」 「あ?昼飯食ったばっかじゃねーか。もう食うのか?」 「ついでに買い物しようかなって。」 「は?そこまでつき合わされるのかぁ?ったくよお。」
なんだかんだ立ち上がるあたり、彼は優しい。
「素直じゃ無いなぁ、おにーちゃん。」 「ふざけんな、くそっ、いかねーぞ!!」
あいつに聞かれたらどうするんだなんて一人愚痴るギアッチョの背後に空気を読んだのか読んでいないのか。
「なにそれ、兄妹プレイ?ギアッチョってそういう趣味?」 近親相、まで言いかけたメローネは直後氷漬けになった。 いい笑顔のまま。 「マキナ、てめぇ・・・。」 「メローネが地獄耳なだけだよ。」 そう返せばギアッチョはうなだれた。
「と、いうわけで本日のメインイベントです!」 「御託はいいからさっさと頼め。」 「はーい。」
店員さんを捕まえ件のパフェを頼む。 視線を正面に戻すと疲れ顔のギアッチョが窓の外を見ていた。 確かに買ったものこそ少ないがたくさんの店を見た。
時には女性客ひしめき合う洋服店につき合わせ、時にはランジェリーショップの前で極寒の風の中待たせたり。
悪いことしたなぁなんて机に突っ伏すふわふわ頭を眺めて笑う。 笑っているあたり反省はしていないのだが。 けどまぁパフェでチャラなのでシャドウボクシングネタとお兄ちゃんネタは今日をもって封印しよう。
とくに会話をするでもなく暫く窓の外を眺めているとパフェが運ばれてきた。 お待たせいたしました、の一言に体を起こすギアッチョ。 レンズの奥の瞳が盛大に見開かれた。
「…でかすぎないか?」 「トルネードだから。」 「わけわからん。」
このトルネードイチゴパフェは全長30センチ、高く聳え立つトルネード巻きのバニラとイチゴのミックスアイスクリームが特徴の絶品パフェなのだ。 大食い用なら上には上がいるが一般人が食べるものとしては丁度良い大きさでありながらもボリューミーと幸せになれるパフェである。
「はい、スプーン。」 「あぁ?俺も食うのか?」 「好きにしていいよ。それでは、いただきます!」
唯一の難点は躊躇していると聳え立つアイスが容赦なく溶け始めるところだ。
(意外に甘くないな。) (でしょー、この甘さだから最後まで美味しく食べれるのよね。) (まぁ、不味くはねーな。)
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