舞われまわれ | ナノ







「と・る・ね・え・ど・い・ち・ご・ぱ・ふぇ!!!」
「何だマキナ、新手の呪文か。」

ホルマジオがカカッと白い歯を出して笑いながら読んでいた雑誌から目を上げた。

「違うわよー!話が違うのー!!!!」
私は向こうの、そ知らぬ顔でテレビを見ている天パを睨みあげる。
気付かない振りをしけこむ様子なので再度足をばたつかせながら「聞いてんのか天パァ!!」と叫べばホルマジオからしょおがねえなって具合に撫でられる。

これじゃあ私が駄々っ子みたいなので、足をばたつかせるのは止めておく。
「びゃーびゃー騒ぐな、くそっ。」
「じゃあいつ奢ってくれんのよー!!!」
「てめぇが勝手に取り付けたんだろ、つーかイルーゾォにはいわねーのかよ馬鹿が!」
「イルーゾォはもう奢ってくれたよ。」

任務が終わって数日後には。
食いに行くんだろ、と。

あの早急な対応はこういう風にぎゃーぎゃー騒がれる前に事を無難に静かに終わらせたいという彼らしい理由を感じた。
ならばその対応が正しかったことを私は体現せねばなるまい。

「は?それぞれ一個奢るのかよ!んな食うと太るぞ!」
「そうねー、シャドウボクシングでも始めようかしら。」
「クソッたれが!!」
「じゃあ次の日曜にでもヨロシク!」
「ふざけんな!クソッ。」

ギアッチョは部屋を出て行ってしまった。
まぁ私は約束を取り付けられたので満足である。
「アレは約束したうちに入るのか。」
「否定語はなかったからね。」

よくわかってんな、なんて苦笑するホルマジオに得意げに胸を張った。

(無い胸張られてもな。)
(お、おっきくなったよ!)