舞われまわれ | ナノ







「ジェラートー!ソルベー!ごめんなさいいいいいいいいい!!!!!!!あ、おかえり。」
「おぅ。」
「どうしたよマキナ。」

変な物食ったのかと笑うソルベ。
普段なら突込みを入れるところだが今日は小さくなるしかない。
ソルベも突っ込み待ちのつもりだったようで何時まで待っても来ないそれに驚いているようだ。

「本当にどうしたんだ、マキナ。」
ジェラートが覗き込むようにして視線を合わせてくれる。

「その、二人の仕事を聞きまして、ね。」
ソルベとジェラートの仕事は足がついて困る任務での後片付けだったのだ。

「私毎回はっちゃけて割と、こうズバーッて汚しまくる殺し方しか出来ないからさ、ていうか二人がそんなことしてくれてるなんて知らなくて遠慮せずぐっちゃぐちゃにしてたので、まことに申し訳ない。」

毎度の二人の苦労を想像して腰は低くなるばかりである。
だってたいてい私アレとかソレとかぶちまけさせてるから任務後の現場は死屍累々の惨状である。

まさかそんな、私に回ってくる仕事に証拠だとか死体自身とかの痕跡を消す必要のあるものがあるなんて思っても見なかったのだ。

「そんなことか。」
あっけらかんと応えるソルベ。
「心配して損したー。」
なんてとてとてキッチンの冷蔵庫に向かうのはジェラートだ。
「え、だって。」
「血飛沫で言ったらリーダーもなかなかなものだし。」
「グロさで言ったらホルマジオも一級品だよ。」
ソルベの言葉にジェラートが続ける。

「俺たちはそういう役目なんだから気にせずいつもどおりやってくれって。」
「むしろソレで遠慮してターゲットが生きてたりしてたら、なぁ。」
本末転倒だろなんて笑いながらミネラルウォーターを飲むジェラート。
「俺たちだってそれなりに遣り甲斐持ってやってるんだから。」
「チームのメンバーが鉄砲玉みたいに扱われるのも嫌だろ。」
「うん、ありがとう。」
「…そうだな、あっついコーヒーが飲みたいな。」

意地悪そうにソルベが笑った。
「俺は甘いのな!」
ジェラートが便乗して名乗り上げる。
いやあんたキッチンにいるんだから、と喉元まで言葉が出かける。

「と、まぁそんなに気を使われるとありがたく利用させてもらうからな。はい、コーヒー淹れてくる!」
「肝に銘じておくわ。どろどろに熱くして火傷させてやる。」
気にするなとソルベは言いたいのだろう。

リビングのソファでわざわざ詰めて座る仲良しな二人のために私はキッチンに向かった。