舞われまわれ | ナノ







「マキナ、君12歳なんだな」
かろうじて読み取れたのは彼女が今から5年前の日付で7歳ということだった。

「そうなの?」
「そうなのって…」
「あの倉庫ね、窓もないし時計も無いから…」
時間も日付もわからなくなっちゃうの、と彼女は眠そうに呟いた。

朝カーテンを開けたとき飛び起きたのはそういうことか。
しばらく日中は外を歩くのに苦労しそうだな。

「ブチャラティは何歳?」
「14だ」

正直二歳差ということに俺も驚いている。
それほどまでにマキナの体は小さい。
せいぜい10歳か、というくらいだ。
言動の幼さもそれに拍車をかける。
精神的ショックにより成長が止まる子供がいるという話は昔、心理学の本で読んだことがあるがこれもそういうことなのだろうか。
食べ物もろくなものを食べていなかったようなので栄養面の問題もあるのだろう。
もしくは時間の概念が薄い世界に閉じ込められていたからだろうか。
ここまで来ると、俺の本で得ただけのにわか知識では判断しかねる領域だ。

14かー、と何に感心したのか感慨深げに頷く彼女を横目に、今日はまだ眠っている父の様子を見に行くことにする。父が起きたら引越しのことを伝えねばならない。