舞われまわれ | ナノ







朦朧とする意識の中、酷い悪臭が鼻腔を突き刺す。
「っつぅ…うわっ!」
「ギアッチョおはよう!」

地獄絵図化と思うような室内の惨状。
壁にキリストのように立ち尽くす男とマキナ。

一体何が…―。
男の瞳には光がない、虚ろだ。
しかも片目がない。いやそれ以上に残ったほうの瞳にこそ、光がない。
しかし生きているようで、肩や胸は不規則ながら上下している。

「スタンド解除してくれたんだ。」
こんな光景に似つかわしくない明るい声でマキナは言った。
「ボスは山の中のコテージだってさ。」
「お、おう。」

先ほどまでいたはずのボスがいない。
いまいち現状がつかめない俺は途方にくれる。

と、とりあえずイルーゾォを起こそう。