舞われまわれ | ナノ







「そういえばペッシの歓迎会はしたの?」
「してねぇな。」
「え、そんなのってないよ兄貴!」
「あいつの真似すんな!」
「だってー。」

今日も今日とて寒い中走りこみに行くペッシを見送り私とプロシュートはリビングでお茶をしていた。

「何の予告も無しにあいつが新入りとしてリゾットに連れてこられたもんだから説教ついでに飲みに行った。それくらいだな。」
「飲みに行くついでに説教したんじゃないの?」
「うるせーな。お前他人の弄り方がメローネに似てきてんぞ。」
「…凄いショック。」
「ざまぁみろ。」
「ね、嘘だよね。」
「けっ。」

…ショックだ。
それってつまり超性格悪いって事じゃ無いか。

「うっわぁ、ひどぉーい。」
「あれ、口に出てた?」
てか何時の間にメローネいたの。

「俺のガラスのハートにヒビ入った責任取ってよねー、マキナ。」
「ハッ、粉々に砕けてしまえ。」
「Mに目覚めたら最高の状況なんだろうなー。」
「ちょっと当たり前みたいに人のお茶飲まないでよ!」

あまりにも自然な動きで、阻止するのが間に合わなかった。

「それにしてもプロシュート、いつまでやらせてんの?」
メローネはそういいながら玄関のほうを見る、ペッシのことだろうか。
「うるせー。」
「あんなことさせても意味ない、徒労だぜ。下手に希望持たせるのはどうかと思うけどな、俺は。」
「・・・。」

どういうことだ?
メローネとプロシュートを見比べるがメローネはプロシュートを見たまま薄ら笑いを浮かべてるし、プロシュートはプロシュートで口を片手で覆いながらメローネと視線を合わそうとしない。

あまり良い雰囲気ではないことは蚊帳の外の私にも分かる。
困惑気味の私に気付いたのかメローネは私にウィンクする。

「プロシュートはペッシを一人前にする気は無いんだよ。」
「そういうわけじゃねえよ、ただ…。」


「あいつには向いてねえんだよ。」

組んだ指に額を当て下を向くプロシュートはまるで懺悔しているみたいだった。