舞われまわれ | ナノ







「異動、ですか?」
先日の作戦の後処理に追われていると、リーダーから呼び出された。

「ああ、この前の作戦時にチームが一つ潰れてね。人手が足りないそうだ。あそこは今のボスに変わってからスタンド使いを中心に集めている地域だ。お前たしかあの辺土地勘あるだろ?それにスタンド使いの中のほうがやりやすいだろ」
「心遣い感謝します」

確かにあの地域はこのチームに入る前、パッショーネに保護された段階で住んでいた地域だ。

「気にするな、…向こうの幹部は若干きな臭くはあるんだがなあ。まぁ気をつけてな、嬢ちゃんのためにも」

リーダーには組織に拘束されていた少女を保護したとだけ伝えている。

「この街にはあんまりいい記憶も無いだろう。そうそう、チルコの情報部隊のほうにその子の記録があったみたいだぞ」
「え?」

まさか、スタンド使いとばれただろうか。
彼女をこちらの世界に関わらせるわけにも利用させるわけにも行かない。

「こっちもお前には世話になったからな。スタンド使えるってんでこき使いすぎたな」

豪快に笑いながらリーダーにほれと差し出された紙はぼろぼろであったが、確かにマキナと思わしき少女の写真が添付されていた。
文字のほうはほとんど読み取れるものが無い様で内心安堵する。

「いえ、とてもやりがいがありました」

パッショーネの中には正義は見当たらなかった。
しかし、リーダーはギャングでありながら芯を通す人だ。
俺はたびたび彼の姿勢に救われていた。

「お世話になりました」
今までの感謝を込めて礼をする。
「おう、気張って来い!」

しかし、異動先に俺は一抹の不安を覚えていた。