舞われまわれ | ナノ







…おかしいな、誰も来ない。
防音が施されたこの部屋からは外の様子は分からない。
仕方が無いので部屋を出た。

「あれ?」
部屋を出たら、『チーム』の人の死体が転がってた。

「まだいるのか!」
「何が5人弱だ、8人は殺したぜ!?うちの情報部は仕事してんのかよ!」

「だ、誰…?」
入り口のほうから、見知らぬ二人が駆けてきた。

「子供、か?」
「どうして…商品か?」
「わからない…君は、チルコのものか?」

若い方のお兄さんが話しかけてきた。
二人とも、血だらけだが動きに乱れは無い、返り血なのだろう。

「違います、私は飼われてるの。『チーム』の人に」
「…そうか」
「ブチャラティ、奥にも部屋がある。見てくるからその子を頼んだぞ」
「ああ、気をつけてな」

年上に見えるお兄さんが奥の部屋に入っていった。
見ないほうがいいのに。

「辛かったな、もう大丈夫だ。君は自由だ、家族の元まで送ろう」
お兄さんが私に目線を合わせてきた。
見下ろされるのに慣れてたから思わずびっくりする。

「怖がることは無い、もう大丈夫だ」そういって頭に手を置かれた。
それが撫でられたのだと気付くのにしばらく時間が必要だった。
「でも、私…」

その時、お兄さんの背後に一瞬黒く光るものが
「危ない!!!」
お兄さんを突き飛ばすと同時に発砲音が周囲に響いた。