舞われまわれ | ナノ







「リーダー、完璧なオフの日って貰えるの?」
「遠出するのか?」
昼前に起床した私は昼食までのつなぎに甘いカッフェを堪能しながら頷いた。


「ナターレも近いし家に帰ろうかなって。」
「お前は今月もう十分働いているからな、問題ない。回すなと言われれば仕事は回さん。」
「やったぁ!」
「えーマキナったらナターレに帰っちゃうのー?」
上からずしっとした圧力を感じ前のめりになる。
成る程、メローネが後ろから圧し掛かってきているのだ。

「皆はアジトでパーティー?」
肩から回された腕が胸の前に行こうとするのを抓りながら聞く。

「じゃないかなー。毎年なんとなくいるメンバーで飲んでるだけだけど。」
「そうか、ちょっと残念だけど分身できないしな。」
「折角ミニスカサンタのコスチューム買ったのに。」
「…それは…メローネが着るの?…帰って正解かも。」

何が悲しくてあんたの生足を拝まなくちゃいかん。
「それもいいけど、アンタに着せようかと思ったんだよー。」
「…どの道帰って正解だわ。メローネどいてー。」
早速荷造りするためにソファから腰を上げようとする。

しかし肩への重みは軽くなるどころか重みを増した。

「メローネー、重いから。」
「どきたいのは山々なんだけどー。」
イルーゾォの置き忘れた手鏡を使って自分の背後の状況を見る。

「「よっ!」」
鏡越しにメローネの上に更に圧し掛かっている大の大人二人と目が会った。
「そこはかとなくしっかりずっしり重いんだけど。ホルマジオ、プロシュート。」
「ホルマジオが上に圧し掛かったの見たらここは空気を読むべきかなと思ったわけだ。」
「読む空気を間違えないでほしいわ。」
悪びれもせずに爽やかに言ってのけるプロシュートに鏡を投げたくなるがイルーゾォが泣くのでぐっと堪える。

「いやメローネと楽しそうだったから俺も混ぜてもらおうかなとさ。マキナ、ナターレは帰っちまうのか。」
「そうよー。なんか肩痺れてきた。マジ退いてー。」
「へいへい、ほれ、プロシュート退け。」
「なんだ、もう終いか。」

一気に肩へのストレスが無くなる。
背を伸ばして軽くストレッチをすると背骨がボキッとなった。

「何時出るんだ?」
プロシュートが私の隣にドカッと座り込みながら聞いた。
「明日か明後日のつもり。」
「んじゃあ明後日にしろ。」
「いいけど、任務にはいかないよ。」
「ちげーよ。一足先にパーティーだ。いいだろリーダー。」
「そうだな。ただ、飲みすぎるなよ。」
リーダーは任務が入ったときの事を考えているのだろう。
「そんな気を使わなくていいよ。」
仕事に支障をきたすなら無理はして欲しくない。

「餓鬼が遠慮すんな。全員揃ってる方が楽しいだろうが、俺のわがままだ。お前は巻き込まれてろ。」
「プロシュート…ありがとう!」
「俺女だったらお前になら抱かれても良い。」
「メローネ、喧嘩売ってんのか?」
「照れるなよー、よっしゃ宴だー!」

メローネは楽しそうに他のメンバーの部屋に伝えに行った。

「お前、本当に面倒見よくなったな。」
ホルマジオが感心したように言う。
「うっせぇ。お前もその腑抜けた顔どうにかしろ。」
「えへへ、善処する!」
だらしなく頬を緩ませていたらプロシュートに小突かれた。

(そうは言っても嬉しくて!)