舞われまわれ | ナノ
「メローネ…はまだ帰ってこないね」 「あ?なんかあったのか?」 リビングに顔を出すが、彼はまだ戻らないようだ。 浮かない顔の私をみてギアッチョが心配してくれる。
「…ギアッチョは、メローネの真顔見たことある?」 「お前はあいつを何だと思ってるんだ」 「歩く下半身かと、数時間前までは」 「下半身が歩くのは普通だろうが! 上半身で歩けるか!!!」 「ぜ、前言撤回!歩くわいせつ物ってことで!」 「…まぁお前の言わんとしていることは分かるけどよ」 切れかけるギアッチョを宥める。 彼との会話は回りくどい言い方は避けるべきだということを忘れていた。
「あいつだって人間だ。マジになることの一つや二つあるだろ。何だマキナ、あいつと喧嘩したのか」 マジになるくらい触れられたく無かったってことか。
「喧嘩、したのかなー」 私も当事者に含まれるのだろうか。 まぁ含まれるのかな。 嫌なことに触れちゃったなら謝るべきだよね。
「よし、メローネ探しに行こう!」 「おぅ、行ってこい」 「何言ってるの。行・こ・う!って言ったんだよ」 「…まじかよ。俺関係ないし」「うら若き乙女をこの時間に放り出すつもり?」
時計の針は午後の11時半を指そうという所だ。 「お前なら若すぎて安全だろ、てかお前に絡んだ奴のほうが危険な目に…」 「・・・・・・・・」 「・・・・・・・・」 「・・・・・・・・」 「…わかったよ、行けばいいんだろうがクソが!」 「ギアッチョ大好き!」 「ったく、行くぞ」
まだメローネへかける言葉は思いつかないんだけど。
(ごめんなさい、と言った後は?)
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