舞われまわれ | ナノ
お仕事中泣かなくなったのは何時からだろう。 震えなくなったのは何時からだろう。 今でも吐くことはあるけどそれは匂いとかで気持ち悪くなるからであってお仕事にはもうほとんど抵抗は無い。 ただ、嫌だと思う。 けど割り切れている自分がいる。 『チーム』の人たちの七面鳥のお零れを貰ったのは覚えてる限りで三回、もっとあったかもしれないけど時計どころか窓もないこの倉庫では時間の感覚はとっくに麻痺してる。
「駄目だー。今日は見つかんないーからもう適当に連れてきちゃったぁ」
倉庫の入り口に影が二つ。 ああまた今日もこれからお仕事か。 楽しんでみようかな。どうすればいいんだろう。
「お前…まだ11時だぞ?諦めてんじゃねーよ」 「だってビデオの編集楽しくてろくに寝てないんだよ。いいじゃん、今日はこれで」
そういって猿轡をされ拘束されたお兄さんは引きずられ奥の部屋に消えていった。 私は呼ばれるまで部屋には行かない。 呼ばれなきゃいいのになって毎回思う。 数十分後、呼ばれて私は奥の部屋へ入った。 楽しく楽しく…。心の中で何度も念じる。 楽しいと思えれば楽しいと思えれば…。
いつもの台詞の押収の後、またお兄さんと私が部屋に残される。 「俺、たしかにパッショーネには良くして貰ってるけどよ、でも無関係なんだぜ?やめてくれよ、なんだよここ、放してくれよなぁ。おい、おいってば、おいきいてんのか餓鬼!!!!!」 聞こえない聞こえない。 聞こえないんだ。
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