すったもんだがありまして



「おはよう、花京院」
「え、ああ。おはよう、柊さん」
昨日のHRでの会話から、彼女は僕に話しかけてくるようになった。

「…、花京院ってさ」
「なに?」
「ううん。なんでもない。プリッツ食べる?」
彼女の持つコンビニのレジ袋にはお菓子がたくさん入っている。
それから一つを取り出し開けながら彼女は聞いてきた。

「朝からお菓子…」
「細かいことは気にしないー」
プリッツは野菜ジュースだ、と突っ込み所満載の持論を展開しながら彼女はプリッツを頬張っている。
その姿はどこかげっ歯類…とりわけハムスターを連想させた。
「そんなのばっかり食べてるから身長低いんじゃない?」
「あ、人が気にしていることを!」
「え、ああ、ごめんごめん」
「…」
地雷を踏んだようで、恨めしそうにこちらを見てくる。
面倒くさいことになった、内心僕はため息を吐く。
「柊さん。ごめんなさい」
「分かればよろしい。ところでさ、普通に呼び捨てで構わないんだけど」
「でも女の子に」
「男女差別反対!」
本当に、面倒なことになった。
僕は誰とも親しげにはなりたくないというのに。
だって、本当に親しくなるなんて僕にはあり得ないことなのだから。

けれど、この程度のことで人を突き放すのはまだ難しい。
突き放すには、相手にも理解できるそれなりの理由が必要なのだ。
でなければいらぬ反感を買う。
それはそれで避けたい事態だ。

「…わかったよ、柊」
「よっし!」

観念した僕が呼び捨てで呼べば、大変満足そうに柊は笑った。


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