ふたご座は、絶好調



本屋にはめぼしい本はなかった。
折角駅前まで来て大き目の本屋に来たというのに。
無駄足を嘆きながら折角駅前まできたのだからと前向きに考えようとする。
何処かでお茶でもしようかなー。
本を買うつもりで居たこともあり財布には余裕がある。
さて、奮発してケーキでも食べてしまおうか。

気持ちを切り替えて前を向くと、パチンコ屋から見知った後輩が出てくるのが見えた。

「…こら、不良少年。」
「げ、マキナ先輩!」
「げ、とはなによ、げとは。アンタこんなところに入り浸ってるの?」
「へへ、常連っす。」
照れくさそうに人懐っこい笑みを浮かべる東方仗助。
別に褒めてはいないんだが。

「なに?これから換金?」
「詳しいっすね、先輩。」
「あくまで知識としてだから。」
「そうっすよね。いや、もう裏口のほうで済ませましたから。」
「換金したんかい。」

まぁ人がどんな風にお金を使おうといいんですけど。

「正直儲かるの?」
近親にパチンコを打つ人がいないため、下世話とも思いながら日ごろからの疑問をぶつけてみる。
「まぁ〜…遊びっすよ遊び。でも今日はちょっと当たりが出たりして。先輩、暇ならどっかでお茶してきません?」
「別にいいけど。」
そのつもりだったし問題ない。
「よっしゃ!」
そんなにパチンコで勝ったのが嬉しいのか、カフェへの道中彼は上機嫌だった。


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