紫陽花



「エジプトは雨が降りませんねー。」
「ああ。」
「日本はもうすぐ梅雨かな…。」
「なんだ、恋しいのか。」
「Exactry.」
「…テレンスの真似か。」
「Exactry.」
「…。」
「あ、紫陽花とか綺麗なんですよ!日本行きましょうよ。」
恋しいといったところで家に帰してくれるわけはないのだが。
なぜか気に入られてしまった私は今日も自称夜の帝王と共に、元昼夜逆転生活真っ最中である。

「ほら、DIO様全体的に黄色いから紫陽花畑とか行ったら映えて綺麗ですよ。」
「私はこのままでも十分美しいだろう。」
「ハハハ、今の面白いですね!」
「…お前もつくづく面白い人間だな。このDIOにそんな口を利けるとは。」
「そうそう私の家の近くに紫陽花いっぱい咲いてたんですけど、DIO様にあげられたら良かったのに。」
「それは、嫌味か?」
「え、なんでですか?」
「フン、わかっていないのならそれでいい。」

青や紫の花に囲まれるこの金色の吸血鬼は、さぞかし美しいだろうに。
どうやら気に入っては貰えないようだ。
紫陽花の何が嫌なのだろうか、…カタツムリ?
遠く離れた故郷の風景を思い浮かべても答えは出なかった。


アジサイ:あなたは冷たい人
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