百日草



来る日も来る日も待ち続ける。
急に旅立ってしまった友からの音信はまだない。
私にも占いが出来たら、何時頃帰ってくるかの目安にでもなったのだろうか。
習っとけば良かったなぁ。
でもやっぱり占いって、他人の口から出るから信憑性を増す気がする。
いや、彼が言うから妙に説得力があるのかな。

「早く帰って来てよー。」
私はもう待ちくたびれそうだ。
この部屋の主は、いつになったら帰ってくるのだろうか。


アヴドゥルさんが急に日本に行くという手紙を遣してから数十日。
そんなに日本は楽しいところだったのだろうか。
頼まれたわけでもないけど、彼の部屋の掃除をしながら考える。
帰ってこなかったら嫌だな。
この部屋もこの部屋で彼と飲むチャイも私は大好きなのだ。
いや、何より私は彼が好きなのだろう。
…あれ?いやいやいや。
スッと出てきた自分の言葉に、自分で突っ込みを入れる。
今なんて、自分は思ったのか。

確かに彼は好きだけど、あれ、まさかそんな。
ちょっと会えなくて寂しいせいだ。
そうだ、そうだと自分に言い聞かせる。
なにもかもアヴドゥルさんが帰ってこないのがいけないんだ!
「…早く帰って来てよ。」
そうすれば湧き上がり始めたこの感情の決着も着くだろう。
よし、帰ってきたらこの先彼が急な出張に出ても困らないように数ヶ月先まで占ってもらわないと!

ついでに、恋の方も…ね!


後日再び掃除に訪れた私は、彼の友人という男性から耳を塞ぎたくなる事実を知らされる。
(ああ、神様。)


ヒャクニチソウ:不在の友を思う (亡き友をしのぶ)


「#ファンタジー」のBL小説を読む
BL小説 BLove
- ナノ -