ガマズミ



「ガマズミの花言葉って知ってる?」
「なによ、藪から棒に」
典明はいきなりそんなことを言ってきた。
見れば手には花言葉事典。ちょっといくらなんでもメルヘン過ぎるわよ。
っていうか何でガマズミ?
え、ガマズミってそもそもどんなのよ。
パッと浮かぶものにして欲しい。
見た目さえ浮かばない植物の花言葉を知っていたのならそれはむしろ奇妙じゃないだろうか。
「典明、もうちょっとメジャーなので頼む」
私だって薔薇の花言葉くらいならいくつか色毎に記憶している。
けど、ガマズミってそんないきなりハードルあげないで欲しいわ。
「丁度この時期花が綺麗なんだ」
「ふーん」
ガマというだけで蛙のイメージがあるからかそんな大層な花には聞こえない。
「それで、花言葉だっけ?それがどうしたの」
「いや、僕の君への気持ちにぴったりだなって」
「忠誠とか?」
「…。」
「嘘よ。で、何なの?」
「…『無視したら私は死にます』」
「…重いわね。」
「想いだけにね。」
そして、寒いときたもんだ。
「…善処するわ。」
なんといっていいかわからず、曖昧に返す。
それでも典明は嬉しそうに微笑むのだ。



ガマズミ:無視したら私は死にます


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