わたしには敬愛すべく姉が一人います。

「はあっ、はあ……っ」
「また一人で修行してたの?」
「おね、ちゃん」
「無理して喋らなくてもいいわよ。まったくもう、一人で修行するのは危ないからやめなさいっていつも言ってるのに」

そう言っておねえちゃんは手を腰にあてて頬を膨らませながらわたしの両頬をひっぱる。ごめんなさい、と言おうとしたのに口が上手く動かなくてちゃんと発音できなかった。恥ずかしい。

「おねえちゃんは、心配しすぎです。わたしだってもう13歳なんですよ」
「そう言う口答えはクナイを的の中心に当てれるようになってから言いなさい」

指をさされた方面には先ほどまでわたしが頑張って修行していた成果が散らばっていた。おねえちゃん、わたしまだまともに的に当てられないんですよ。それをいきなり中心に当てれるようになんて……そんな、武器の天才のおねえちゃんを基準にしないでいただきたいです。

「テンテーン!どこですか、テンテ―ン!」
「リー、騒がしいぞ」

遠くから聞こえてきた声を耳にいれてわたしはぴしりと固まる。おねえちゃんはそれを気にせず二人に声をかけていた。おたおたしながら散らばった忍具を片付けて一足先にお家に帰ろうとするが、目敏くそして過保護なおねえちゃんが一人では帰らせまいとわたしの腕を掴んだ。

「帰ってくるなりいなくなるものだから驚きましたよ」
「ごめんごめん。リンリンが修行してる気配したものだからつい」
「どんな気配ですか、それ。最近冗談抜きでおねえちゃんが怖いよ、わたし」
「一人で修行してたんですか?」

リーさんの言葉にこくりと頷くと感心の声とともに休憩はしっかりとらないといけないと言われた。……リーさんにだけは言われたくない言葉である。おねえちゃんの背中に隠れつつも小さな声でリーさんとお喋りする。時折日向さんの様子をうかがってみる。
日向さんによく思われていないからわたしのせいで時間をとるというのはあまりよろしくないだろう。

「おねえちゃん、」
「何?」
「任務終わったばかりなんでしょう?報告行かなきゃ」
「そーね。ガイ先生のところに行かなきゃ」

と言っておねえちゃんはわたしの手を引く。いや、ちょっと待って。なんでわたしも行く必要があるの?その意味をこめてぶんぶんと振ってみるけれどおねえちゃんは気にもせずリーさんと話しながらずんずん進んでいく。せめてその中に日向さんもいれてほしい。そうしたら沈黙を続けるのはわたしだけで少しは気にせずに済むから。

「おねえちゃん、わたし一人で帰れるよ」
「駄目よ。危ないわ」
「わ、わたしだって忍者のはしちく…はしくれなんだよ!」
「もどきでしょ。アカデミーに通えてないんだから」

もっともなお言葉にわたしは俯く。そう、わたしは生まれつき身体が弱く病院の常連さん。入退院の繰り返しなんてよくあること。最近は少し調子いいけれど。それもあっておねえちゃんは過保護だ。
結局この日、わたしはこれ以上おねえちゃんに抵抗できるわけもなく連れてかれた。突き刺さる日向さんの視線に泣きたくなったのは言うまでもない。
テンテン妹、ネジ落ちで原作沿いではないと思われる、私もってない。
武器の才能ないうえ身体が弱いけれど術の才能は飛びぬけているといいなあとか。チャクラコントロール苦で活発的ななテンテンと全くの正反対だったり。術合戦だけなら上忍にも劣らないよ!な内気な女の子。
ちなみにネジは睨んでいるのではなく心配しているだけで。鈍感な彼女には伝わらなくて。おたおたと甘くもどかしい。そんな話を私は読みたい。

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