日もだいぶ傾きかけた午後4時過ぎ。まぁやる事もなくいつもの定位置のソファーに寝転がって煎餅をかじれば俺も腹が出てきたなぁと腹を掻く。この家に俺1人ならばはははと笑って終わるのだがいかんせん俺の同居人はそれを許さないらしい。
「仁さん、さすがにそれはないわ」
「貴様の堕落した生活の結晶がその腹と見える」
「…そんなにヤバイかなこれ」
「それもう「めたぼりっくしんどろーむ」って奴だよ俺様こないだテレビで見たんだから!」
「そんなにやべぇ!!?え、軽くショックなんだけど…」
最近若干だがズボンに乗ってる(気がする)腹を摘まんで離すとふるりと揺れる。高校の時はまぁまぁ割れてた腹筋がいつの間にか無いことに僕は静かに泣いた。
「でででででも就ちゃんも似たような生活してんべ!?此処にくる前は知らんけど此処来てから就ちゃん毎日雪見だいふく食ってるじゃん!なのになんでそんな細いんだよ」
「フン、貴様とはそもそも体の作りが違うのよ。仮にも我は武将、貴様なんぞと一緒にするな」
「言葉はごもっともなんだけどなんだろなこのやるせねぇ気持ち!」
今ももちもちと大福を頬張る武将様々に微妙な心境になりながらも煎餅を食べようとすれば横から伸びた手にかっさらわれる。
「あー!おじさんのざらめせんべが!!」
「仁さん今日から間食禁止ね」
「なんですと」
「あと毎日お風呂上がりに腹筋しなさい。俺様がこの家にいる内はめたぼになんかさせないからね!」
「なんですと!?」
「俺様が甘かったんだ、そういや仁さん俺様がきた時よりちょっとぷにってしてるもん、もっと最初から間食させなきゃ良かったんだ…」
「おにーさん的にはぷにってしてても構わないっていうか…」
「俺様が駄目なの!わかった!?」
さっちゃんの剣幕にたじろいで頷けば満足した様にさっちゃんも頷く。
さっちゃんの手に握られた写真には気付かぬまま。
(見てみて毛利の旦那、さっき見つけたんだけどこれ若い時の仁さんじゃない?)
(…片倉の様だな、ありえぬ)