「して、此処はどこぞ」

「400年後の未来です」

「主は誰ぞ」

「此処の家主です」

「貴様が我を連れて来たのか」

「家に居たら君が降ってきたので答えはいいえ」

「仁さんお茶どうぞー」

「あんがとさっちゃん」


部屋にはガムテープで手を拘束された緑の子と俺と拘束した張本人のさっちゃん。突如として寝室に沸いて出た緑の彼は、当初目に酷いクマを浮かべて俺自慢のふかふかベッドちゃんでぐーすか吐息を立てていた。

さっちゃんは一方的にだが面識があるらしく、眠りこける彼の顔を見て酷く驚いていたのがつい先程。起きて暴れられても困る、と起こさないくらいの早業でさっちゃんが手だけ拘束して彼が起きるのを待ち今のリビングの状況に至る。


「…未来」

「にわかには信じられないだろうけど未来なんだよね、」

「真田の忍が居るのは貴様も同じ状況下だからか」

「あれ、一国のお殿様に名前知れてるなんて俺様感激!すっかり面識あるの俺様だけかと思った」

「敵国の顔触れなど網羅している、婆裟羅者の事なれば尚更よ」

「…流石知将サマですねー」

「ほらほら睨み合いしないの!」


心なしか両者の間でずしりと重暗い空気が流れ始めたのを遮りお茶を啜ればさっちゃんはふん、と息を吐いてソファーの隣に沈んで正面に座する緑の子はふいっと顔を反す。あとおじさんはお茶で舌を火傷した。


「…いやまぁ言わなくても分かると思うけど、君が向こう帰れるまで俺が面倒見るからさ」

「言っておくが我は貴様を信用する気などはなから無い、それだけ肝に命じておくが良い」

「っアンタ、それどうにかなんない?世話して貰うのに何その態度」

「いーよさっちゃん、はいどうどう。それよりお茶のお代わりちょーだいな」

「…うん」


思い切り眉間に皺が寄ったさっちゃんを宥めてお茶を頼めば溜め息を吐いてキッチンに向かった。まぁ今はこの子からさっちゃんを離した方が得策だろう、さっちゃんも分かっているのかお茶を準備している音は聞こえない。

…にしても随分つんけんした子が来たなぁ、さっちゃんはあからさまに嫌悪を顔に出してたのに対して目の前の子はピクリとも顔が動かなかったし。こういうのなんつーんだっけ、鉄仮面?

小太郎ちゃんは喋らないし表情も変わらなかったが行動と何よりも目が饒舌だった。それに比べてこの子は目が何も言わない、相当警戒してるのか、元から何も思わない質なのか、隠しているのか。


「えぇっと、そいや自己紹介が未だだったっけ、堺仁です好きに呼んでなー」

「…毛利元就、日輪の申し子よ」


…とりあえず、お人好しの名にかけて懐かせてみせるぜ就ちゃん

(日輪てなぁに?)
(…日輪も知らぬとは貴様は馬鹿か)

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