「はぁー良いお湯だったぁ!シャワーってやつ便利で良いねぇ」

「現代技術は進歩しているのです、さっちゃん髪乾かすからおいでー」

「はいはーい」


さっちゃんが風呂を済ませ入れ替わりに小太郎ちゃんが風呂へ向かって数分。すっかり今じゃ必要不可欠アイテムになったドライヤーを握りスイッチを入れれば結構うるさい起動音にさっちゃんの肩がびくりと跳ねた。ごめんね先に言えば良かったね。

風呂は明日の朝入ると思ってた小太郎ちゃんは温まった後のアイス目当てに風呂に入ることにしたらしい。遠くでシャワーの音が聞こえる。


「風があったかい」

「これ当てとけばすぐに髪が乾いちゃうんだぜ、気持ちよかろ」

「うん、寝ちゃいそう」


左手でドライヤーを支えて右手でギシギシつっかかる髪を解かしながら風を送る。さっちゃんの髪も小太郎ちゃんと同じく根本まで染まっていてとても綺麗な色だ。にしてもキューティクルのキの字も無い…小太郎ちゃんもそういえば家に来てすぐはこんなんだったっけかな。今じゃリンスのお陰でサラッサラなんだけどさ。


「いたたたたた!」

「男の子なら我慢しなさい!解かさないと余計に絡まる!」

「抜ける!!あ゛っ今ブチっていった!」

「まだ若いんだから髪が抜けるくらいで騒ぐなよー」


髪の毛と格闘する事10分。ようやくさっちゃんの髪はまぁまぁ指通りが良くなった。それと同時にアイスをくわえた小太郎ちゃんがリビングに入って来たので呼び寄せてスイッチを入れれば小太郎ちゃんは耳を塞ぐ。なんとも用意の良いこった。


「…ありゃ小太郎ちゃんは?」

「なんか相当眠いみたい、先にベッドだっけ?あっち行って寝ちゃったみたいよー?」

「そっかぁ」


二人の髪を乾かして俺が風呂から上がる頃には小太郎ちゃんは先に寝てしまったらしく、リビングでさっちゃんが深夜の通販番組を見ていた。ソファーの隣に失礼すればブラウン管の向こうの良く切れる包丁とやらにさっちゃんが感嘆の声をあげる。


「ちょっと見た!?胡瓜がくっつかなかったよ!?すごくない!?とまととか言う奴も水っぽいのに潰れてないし!」

「うんうんすごいねぇ、小太郎ちゃん起きるからもうちょい静かにしようか」

「あ、ごめ…」


さっちゃんは主夫だなぁ、と言えば気にしてるんだから止めてよ…と肩を落とした。あ、こりゃ言われた事あるんだな。


「あー、終わっちゃったぁ…面白かったのに」

「大体毎日やってるから明日また見な」

「へぇー…テレビって面白いねぇ」

「あんまりはまると目に悪いから程々にな?さぁておにーさんもそろそろ寝るぞー…」

「あ、俺様何処で寝れば良いかな?見た感じ此処天井裏ないし」

「何処って…ベッドだけど?」

「…は?」

「ん?」


さっちゃんが訳がわからないと首を傾げるのにつられて俺も首を傾げる。…なんか俺変なこと言ったか?

(…仁さん風魔と一緒に寝てんの?)
(だって他に布団ねーもん。買っても敷く場所ねーし。あ、因みに客をソファーで寝かしはしないかんな)
(…俺様今日寝れる気がしねぇ…)

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小太郎→お父さん好きなだだっ子ちゃん
佐助→ちょっと大人ぶりないたずらっ子

仁さんからみたらどちらもお子さま

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