「うひー、人がいっぱい!あーあーあー女の子があんなに足出しちゃってぇ…恥ずかしく無いのかねぇ?」
「それが時代だよ佐助君」
「随分と目の保養になる時代だねぇ、役得役得っと」
「役得役得!」
「…」
小太郎ちゃんは呆れた様に溜め息を吐いて持っていた抹茶のソフトクリームを舐めた。すまんね小太郎ちゃん、これが健全たる現代の日本男子なのだよ。
さて車を走らせてやって来ましたのはあのデパート。今日は平日、しかもまだ昼間なので店内には小さな子供連れのお母さんやらお年寄りしか居ない。あとは学校をサボったであろう女子高生ちゃん達がちらほら。当然その子達の視線は俺を挟んで歩くジャパニーズニンジャ共に注がれるのだが人数が少ないからかさして気にはならなかった。まぁ二人はそうでもないみたいで時折煩わしそうに溜め息をつく。
まぁ忍者だから視線浴びるのに慣れてないってのは容易に想像がついた。…が、でも忍者の癖にそんな髪色してるお前らも悪いぞ、まずは髪色を忍べ。
「んまぁさっちゃんの服と靴も買ったしさっさとダッツと食パン買って帰んべ、夜はー…ピザでも頼むか。あ、でも小太郎ちゃん苦手だったっけ」
「ぴざぁ?」
「ああ、なんつーんだろ、米粉とはまたちげーんだけど団子みたいにもちもちした生地に肉やら野菜やら牛の乳を固めた奴やらをしこたま乗っけて焼いたやつ?とりあえず油っこい」
「…」
「うへぇ、身体に悪そー」
「まぁ食い過ぎると事実悪いな。小太郎ちゃんは一枚食って胸焼け起こしたし」
少し大きめな紙袋をさっちゃんに持たせてデパート地下の食品売り場に向かう。食パンもダッツもいつもは近くのコンビニに買いに行くので小太郎ちゃんも此処に来るのはそういえば初めてで、エスカレーターを下って見えた沢山の食材にさっちゃんと一緒に顔には出さずに驚いていた。
「地下一階食品売り場でございまぁす」
「…すごいね」
「…」
「まあ家の近所でいっちゃんデカイしな。にしても夜飯どーすっかな…俺料理出来ねーぞ」
「あ、俺様少しなら出来るけど?」
「…まじ?」
天の助けとはまさにこの事。
おずおずと挙げられた手を握れば「お役に立てれば俺様光栄」だなんて嬉しい事言ってくれちゃって。さっちゃんたらイイコ!と頭を撫でくり回せばいつの間にかアイスを平らげた小太郎ちゃんに何故か買い物カゴをひったくられてそれを見てさっちゃんは笑っていた。
(カレーくいてーなー)
(作り方わかんない、冊子みたいな物無いかな?)
(なら先本屋でそういう本買ってくべ。小太郎ちゃんアイスはあとで!)
(…!)