「小太郎ちゃんまっじでごめん!ほんとごめん!俺今まですっかり名乗ってたモンだとばっかり…!!」

「…」

「うわぁあんそんなホワイトボードで「…」なんて書かなくても良いじゃねーかごめぇえん!!」

「(…俺様どーすりゃ良いのこれ)」


ソファーの端でそっぽ向く小太郎ちゃんとソファーの下で土下座する俺、部屋の隅には小太郎ちゃんによって何故かまたガムテープぐるぐるにされた佐助君。誰がどうみても初見で頭に「?」を浮かべるであろう場面、それでも俺は真面目に必死だった。


「だって小太郎ちゃん名前呼ばねーじゃん…おじさんなんも悪くねーもん…あ、嘘ですごめんなさい全部俺が悪いよねごめぇえん!!」

「風魔ァそこら辺にしてあげたらぁ?そんなに謝ってんだしさ」

「うわぁあんさっちゃぁあん!」

「誰がさっちゃんだ!!」


なかなか許してくれない小太郎ちゃんにぐすぐすと泣き真似をして秘技・開き直りをしようと試みたが長い前髪の下がギロリと動いたのを見てそんな企みも呆気なく打破された(アレ マジデ スゲー コワイ)

そんな時に出された助け船にしがみつけば小太郎ちゃんは小さく息を吐いてホワイトボードにアイス、と書いて指で3と示した。


「こ、小太郎ちゃんっ…!ダッツ3つ買ってあげる!なんならクリスピーも買ってやんよぉ!」

「…」

「おぅ!わかってる小太郎ちゃん抹茶しか食わないんだもん…いひゃひゃひゃひゃ!」


どうやら許してくれたらしい小太郎ちゃんの腰に抱き着けばほっぺたをつねられた。…アイス買うまでは許さねーって事ね…。


「…お取り込み中悪いんだけどさー、助けてあげたんだからこのベタベタどうにかしてくんない?」

「あ、わりぃさっちゃん」

「だからそのさっちゃんって止めてってば!」

「んじゃあー…さっけ?」

「さっちゃんで良いです…」


すっかり忘れてた、とビリビリとガムテープを引き剥がせばさっちゃんは諦めた様にがくっと項垂れた。さっちゃんは苦労人なんだろうな、なんかもう諦めの精神が根付いていやがるぜ…。もはやオーラが「私は苦労人です」と語っている。


「んじゃ元々買い物行くついでにさっちゃんの服とかも買いに行くべや。あー…でもさっちゃんなら俺の服着れるかな?」

「…未来は服も全然違うんだねぇ」

「…」


ふと視線を寄越せばなぜかさっちゃんはジロジロと疑わしい様な目で小太郎ちゃんを見ていた。一方小太郎ちゃんは腕をくんでそっぽを向いている。


「?…んまぁな、んじゃさっちゃんコレ着てみ。頭と腕通せば良いだけだからさ」

「はいはーい」


ポンチョと腹に巻かれた防具でよくはわからんがさっちゃんは小太郎ちゃんよりは筋肉が無さそうだ。いや、有るには有るんだろうけど小太郎ちゃんみたいな筋骨隆々?って感じじゃなくて、さっちゃんの筋肉はシュッと締まった細マッチョ体型。

身長もそんなに俺と変わらんし見た目もそっっっこまでは(此処重要)変わらんし俺の服なら着れるだろ。…でも一皮剥けば全然違うんだろうな、言ってて悲しくなってきたぜチクショウジャパニーズニンジャめ…


「どう?着方これであってる?」

そして着替えて部屋から出てきたモデル野郎に俺の血管がびきりと震えた。

(くそがぁあ!小太郎ちゃんしかりさっちゃんしかりなんでそんなに現代服が似合うんだよぉお!!)
(えー?まぁ俺様顔は良いしぃ?)
(きぃいいいい!!!)
(…)



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