ロープなんて物はなく、仕方なくガムテープでぐるぐる巻きにして拘束された男はこの異様な状況に困惑している様だった。
「えーと、此処は君が居た時代から400?500?まぁそのくらい時代が進んでてだね…」
「は?何それ嘘つくんならもっとマシな…ちょっとちょっと食い込んでるって!」
「小太郎ちゃん刀は無し!な!?な!?早くしまってしまって!」
目の前のミリタリー君は猿飛佐助と言うらしい。本人に名前を聞いたら答えなかったのだけど小太郎ちゃんが普通に教えてくれて佐助君は怒ってた。
そしてとりあえず刀を仕舞わせると小太郎ちゃんの了解を得てガムテープを剥がしてやる。すると一瞬の内に背後に回られて首にクナイを突きつけられた。まぁそれと同時に小太郎ちゃんも佐助君の首にクナイを突き付けたのだけど。
「…動くなよ風魔、この人死ぬよ?」
「…」
「小太郎ちゃん、俺は平気だからソレ仕舞って。」
俺の言葉に小太郎ちゃんは少し迷った様にした後クナイを消して佐助君の背後から退いた。いいこいいこ。
「…んで?アンタ一体何者よ」
「堺仁、歳は30越えてから数えてない。今をときめくおにーさんデス☆…あいたたたた!ごめんちょっとふざけたごめんて!」
「真面目に答えて。俺様堺なんて名字聞いたこと無い、何処の所属?」
「わりと真面目に答えたんだがなぁ…だから言ったろ、此処は君が居た時代からだいぶ進んだ未来なのー。この時代は誰でも名字を名乗ることが許されてんのよ」
「そんなの信じられるわけ…!」
「…」
此処で空気を読んだのか電子機器にすっかり慣れたご様子の小太郎ちゃんはおもむろにテレビの電源を入れた。箱の画面には昼のニュースがながれてキャスターが名前を名乗る。すると、いきなりの事にビクリと体を震わせた後に観念したのか俺の首に回された腕とクナイが力なく外された。
「信じるか信じないかはあなた次第デス」
「…わかったよ信じれば良いんでしょ」
「おぅよ、話の通じる子はおにーさん大好きさ!」
宜しくねー、と頭をぽんぽん撫でればとっても嫌そうな顔で返されました。
(…)
(え!?俺今まで小太郎ちゃんに名前名乗ってなかったっけ!?うわ、うそ、二週間もごめっ…!!)
(二週間も風の悪魔こっちに居たの!?)