「小太郎ちゃん、味噌と醤油と豚骨と辛いのだったらどれが良い?」
「…」
「味噌な、了解」
買い物から帰って一息。時刻を見れば夜の7時を廻りそうな辺りで夜飯にもちょうど良い時間だろう。生憎料理がそんなに得意じゃない俺が冷蔵庫に食材なんかいれてる訳もなく、入ってるのは酒とつまみ。調味料にアイスくらい。
と言うわけで先頭の質問はカップラーメンの味の質問である。
ヤカンに水を入れて火にかける。俺は豚骨を選んでお湯が沸くまで換気扇の近くで煙草を吸う。
すると小太郎ちゃんは百均で買ってあげた小さいホワイトボードを持って煙草を指差した。
「…」
「これは煙草。昔で言う煙管って奴じゃね?」
(小太郎ちゃん喋った事ねーけど)今までの言動から何となくこの子はタイムスリップだったかタイムトラベルとやらをしたんだと算段を付けて、説明するときは昔の物で近い物と比べてやる。すると納得したのか小太郎ちゃんはテレビに視線を戻した。
そしてヤカンのピーピー煩い悲鳴に驚いて凄いスピードでまたこっちを向いた小太郎ちゃんに笑ったのは内緒。
(小太郎ちゃんラーメンうまい?)
(…)
(そいつぁ良かった。だが俺の豚骨ちゃんはやらんぞ)